ライ麦畑で土下座して

うっすら人殺し。映画やドラマの感想など。

ちっさくなって、それから.....映画「ダウンサイズ」ネタバレ有感想

MVPは画面の端でもニヤニヤしてるクリストフ・ヴァルツ


興味深い映画ではある。13センチに縮小されることでみえてくる世界をかきたいんでしょ、ようは。変化を求めていたにも関わらず、いざ小さくなっても凡な会社員であることには変わりないというのも寓意的で良い。


ただ、13センチ人間の社会というのは結局、でっけえ人間(標準サイズ)の社会にぶら下がって成り立っている。価値の基準もあちら。だから資産が増えたりするわけなんだが、じゃあ、みんながみんなちっさくなりたいって言ったらどうすんの!?という疑問が終始頭の片隅にある。他の科学的なところはほとんどそれらしくカバーしていただけに、すっぽり抜けて落ちていて残念。


他の感想なんかを見ていると、これはアメリカの社会を風刺した映画のようで......詳しくないのでわからない。風刺は監督の得意分野なのか。監督もはじめましてなのでわからない。まあ、キャストの演技は文句なしだし、演出面で浮ついた部分はなかった。話のテンポも悪くない。地味な気もしなくはないが、そこを風刺が担っているのだろう。


これは「ちっさくなって人生見つめ直した」的映画ではない。小さくなる過程まで含めて風刺なのだから。著名な映画のサイトなんかで高評価を受けているからといって、安易に見るものでもない。見ても、終始画面に薄ぼんやりとした膜がかかったようになんとなく納得がいかないだろう。それが、アメリカの事情を知っていないとわからない部分なのだ。別に知らなくてもそれなりに楽しめるだろうけど、やっぱり伝えたいことは全部わかりたいよね、という。