ヤーッ、ノマド。ワーッ、ノマド。映画「ノマドランド」ネタバレ有感想
ノマドランドを見ました。見てホヤホヤです。
以下は思ったことを箇条書きにしたもの。時系列はぐちゃぐちゃです。その後になんの根拠もない感想が続きます。いずれもがっつりネタバレしていますので注意してください。
・ノマドの人たち(?)みんな顔に翳りがある
・やっぱヒッピーとかとは全然顔つきが違う。ていねいにくらすとかいうのを掲げている人種とはチョッチ違うのね
・自然自然自然自然オブ自然
・虫とか動物とか間近で見るの無理なのでこういう暮らし無理無理の無理
・地面に落ちたキャップみたいなのふーってしただけじゃ使えない。もうどうでも良くなってんのか
・寒そう
・青年のくれたライター映るのちょっとすぎ。素敵ねじゃねえわ。飲んでるビールと柄おんなじでは
・犬カワイイネ。ちょっとおでぶ。寝転がるな
・トリトリトリトリトリトリトリ
・アマゾンの仕事ってお金いいんだ?まじで?だとしてもAmazonをあまり強調するな。俗っぽくていいけどだめだ
・わんちゃん.......
・開始数秒でわかるアドレスホッパーとは違うということ
・主人公対人のコミニュケーションが達者
・と思っていたらコミニュケーション能力について誉められていた。そういう性格の人なのね
・マクドーナンドさん楽しそうだ。素だろ
・サム・ロックウェルと愉快な写真撮ってたのを思い出す。普段からこの映画のようにお茶目な人なんだろうか
「自然と共存」とか「キャンピングカーと私と、最低限な暮らし」とか、そういうのではない。そういうんじゃない。実際、主人公たちと同じような生活をしている人がいるのか、みんながみんなあんな暗い翳りを顔にたたえているのか、原作も未読なのでわかりません。とりあえずこの映画の中で描かれているノマドたちについて感想を述べていきます。
大切な人を失くしたから、人生を後悔したくないから。劇中、焚き火を囲んでノマドのみんなが吐き出したノマドでいる理由。みんなが抱える想いは随分と内面的なものだ。気になったのは、ノマドの人たちは孤独を苦としない風だったけど、決してひととのつながりを嫌悪しているわけではないということ。主人公はコーヒーやサンドウィッチ片手にガンガン他のキャンピングカーに突撃していくし「前にあった?」なんて世間話も普通にする。
ノマドは孤独ではない。ノマドにはノマドのコミニュティがあるのだ。序盤で描かれたノマドの集会のシーンで気づいた。タイヤがパンクした時は、替えのタイヤを買うために知り合いの車に乗せてもらう。使わなくなった物を交換しあう。病気になったら看病してあげる。仕事も紹介してあげる。こういうシーンを見ながら、自分は達観した気持ちになり「ひとというのは支え合って生きているのだなあ」とどこぞのみつおみたいなことを思った。
では、なぜ、今までいたコミニュティを捨ててノマドとなるのか。ノマドのコミニュティに移るのか。主人公に限っていうなら「自然と対話をするため」という解答ができると思う。主人公は夫を失くし、住み慣れた家と街から離れざるを得なかった。キャンピングカーや場所にこだわる主人公のことを人は、過去の出来事から立ち直ることのできていない弱い人間だと非難するだろう。いつまでも過去に縋って、前を向くことができていないと。
ノマドとなることが過去を克服することなのだ。克服は違うかもしれない。消化して思い出にする。人に気安く話せるくらいにまで噛み砕く。自然に触れて、ノマドの仲間と交流して、いやでもその日の食い扶持について考えなければならない状況に身をおくことで、記憶は薄れて自分のものになっていく。川の流れに流されたり、自然を目の前にしてみたり。自然と人と。何かに打ち込むことで無理矢理にでも思い悩んでいたことを忘れる、という話があるが、主人公がやっていることはまさにそれだと思う。
ノマドの仲間たちは、ネガティブな感情を抱えることを知っている。また、自分が生きることが大きな比重をしめているから、人に干渉してこない。それが、胸につっかえたわだかまりをほぐしていくのに最適なんだと思う。人間の社会からほどよく見放されている。
疲れた人たちが自分を見つめ直すために、あるいは、自分を大切にするために。ノマドがさすらう様は楽しげだった。落ち葉のように儚いけれど、それでもいいと受け入れているのもいい。
Twitterにてこんなの↓を見つけました。それを踏まえての感想。
ヒッピーと顔つきが違う理由がここらへんなのかなとも思う。社会構造からあぶれたものたち。現代社会の欠陥。いわゆるセーフティネットがノマドである、と。いや、ノマドにしようと。ホームレスではない。ハウスレスだからと。
知っていれば知っているほど楽しめるのかもしれない。ノマドが遊牧民を指すことをすぐに連想できるくらいの知識で見るとほぼロードムービー的な印象しか残らない。アメリカの雇用形態や若者や高齢者を取り巻く経済についてわかっていれば、淡白な映像により深みが増すのだろう。
美術館に飾られている一枚の絵のような完成度の高さと、見た後の満足感でした。